ぎっくり腰でも小さな痛みで起き上がる方法とは?腰痛対策も解説

ぎっくり腰とは、急に腰が痛くなった状態を指しますが、医学的な診断名ではありません。正確には「急性腰痛症」という病名で呼ばれます。 ぎっくり腰になると起き上がるのがつらいほど、痛みが強く出ることがあるため、生活に支障をきたす方も少なくありません。今回は、ぎっくり腰になった際の起き上がり方や注意点、予防法について紹介します。


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ぎっくり腰になった際の起き上がり方

ぎっくり腰になると、動くたびに鋭い痛みがあったり、重くずっしりとした痛みを感じたりすることがあります。ぎっくり腰で腰痛がつらいときの起き上がり方は下記の通りです。起き上がるときのコツをつかむことで、痛みを最小限に抑えることが可能です。

1.横向きの体勢になる
2.肘や腕を使い上半身から起き上がる

ポイントは、反動をつけずにゆっくりと起き上がることです。ベッドから起き上がる際、勢いよく足を蹴って起き上がると、腰に負担がかかり腰痛が悪化するおそれがあります。

また、腰への負担を軽減するために、身体をひねる動作を避けることも大切です。

ベッドから起き上がる場合は、両足を下ろしてベッドに腰をかけてから立ち上がるよう心がけましょう。

ぎっくり腰になった際の寝方について気になる方は、下記の記事をご覧ください。
ぎっくり腰の正しい寝方・NGな寝方|緩和のためにできること

ぎっくり腰を予防するには日常の動作に注意しよう

ぎっくり腰は、日常生活で無意識に行っている動作の積み重ねで発症することがあります。ここでは、日常の動作で気を付けるべきポイントについて解説します。

椅子に座る場合

椅子に座るときは、深く腰をかけてから、両足を地面につけましょう。猫背になりやすい方は、背筋を伸ばして胸を張り、肩と頭は少し後ろに引くイメージで行うと正しい姿勢を保ちやすくなります。

この姿勢をキープするのが難しい場合は、背もたれを調節したり、クッションを活用したりするのもひとつの方法です。椅子の高さを調整し、太ももと床が平行になるよう心がけましょう。

また、PC作業をするときは、膝を折り曲げて足先が膝よりも後ろになるようにすると、腰への負担を軽減できます。

椅子に対して机が高すぎたり、低すぎたりするのはおすすめできません。座り姿勢で机に肘をついたとき、肘を90度以上に曲げて肘の先が机につく高さになるよう椅子を調節すると、自然と姿勢が整います。

重い物を持つ場合

床にある重い物を立ったまま手を伸ばして持ち上げようとすると、腰を痛めやすくなるため注意が必要です。重い物を持ち上げるときは、しゃがんで物が体の近くにくるよう調節しましょう。

両手で荷物を持つ場合は、左右の重さがどちらか一方に偏らないように、荷物の位置を調整してください。そのまま身体全体を連動させるようにして持ち上げると、動作が楽になります。

また、重いバッグを持つ場合は、左右交互に持ちかえるようにすると片方の肩や腕に負担がかからずに済みます。とはいえ、ぎっくり腰が心配なときは、なるべく重い物は持たないようにするのが賢明です。

物を拾う場合

ぎっくり腰を防ぐためには、日常生活でちょっとした工夫が必要です。例えば、床に落ちたペンを拾うとき、立ったまま拾おうとすると腰に大きな負担がかかります。そのため、物を拾う場合は、必ず膝を曲げてしゃがむようにすることをおすすめします。

くしゃみや咳をする場合

くしゃみや咳をするときに、思わず体を前かがみにしてしまう方は多いでしょう。くしゃみをすると、体重の約6~7倍の圧力がかかるといわれています。前かがみの姿勢で強い負荷がかかると、腰へのダメージも大きくなるため注意が必要です。

くしゃみや咳の際は、胸を張って少し腰を反らすようにすると、くしゃみ・咳の衝撃を吸収しやすくなります。あるいは、急激な前屈を防ぐのも有効です。くしゃみや咳が出そうなとき、手を壁や机、膝、太ももなどに片手をあてれば、腰への負担が集中しません。くしゃみや咳の衝撃を逃すことができれば、腰への負担が軽くなります。

洗面台で顔を洗う場合

洗面台で顔を洗うときは、腰だけでなく膝も少し曲げて行いましょう。食器洗いや調理するときも同様に、前かがみになるような姿勢は腰に負担がかかります。

洗顔や食器洗いなどで前かがみの姿勢になる場合は、足元に10~20cmほどの高さの台を置き、その上に片方の足を乗せると良いでしょう。

片方の足をずらすことで、股関節が曲がり自然な前傾姿勢になり、腰に負担がかからず疲れにくい姿勢をキープできます。片方の足を後ろに引くだけでも同様の効果が期待できるため、踏み台がないときに試してみてください。

また、足を開き、膝を曲げて高さを調整するのも方法のひとつです。

ぎっくり腰予防のためにしておきたいこと

ぎっくり腰を予防するには、筋トレやストレッチ、寝具の見直しも有効です。ここでは、ぎっくり腰を予防するために心がけたいことについて解説します。

筋トレをする

ぎっくり腰の予防や腰痛の改善には、腹横筋や多裂筋などのインナーマッスルを鍛えることが重要です。効果的にインナーマッスルを鍛えたい方は、無理のない範囲で筋トレを行いましょう。おすすめの筋トレとやり方は下記の通りです。

ドローイン

ドローインは、腹横筋を効率良く鍛えられる筋トレです。

1.床に仰向けになり、膝を曲げる
2.息を吸いながら、お腹を膨らませる
3.息を吐きながら、お腹を凹ませる
4.3の状態をキープしながら、深呼吸を繰り返す

呼吸をするときにあごが上がると首に力が入ってしまうため、お腹の動きに集中できなくなるため注意しましょう。椅子に座ったままでもできるため、仕事の合間に行うこともおすすめです。

バードドッグ

バードドッグは、腰椎付近にある多裂筋を鍛える筋トレです。この筋肉を鍛えることで、腰椎が安定し、腰への負担軽減に役立ちます。

1.四つん這いになる
2.右手を床と平行になるように前に伸ばす
3.左足を床と平行になるように後ろに伸ばす
4.右肘と右膝を曲げながら近づけて、それぞれの手足を再度遠くに伸ばす
5.左右を入れ替えて2~4の動作を繰り返す

手足を前後に伸ばすとき、体が一直線になるようにしましょう。背中を丸めたり、反ったりしないことがポイントです。

ストレッチをする

ぎっくり腰になりやすい方は、筋肉が硬い傾向があります。腰痛予防のために、ストレッチを行いましょう。

キャットキャメル

キャットキャメルは、背骨の柔軟性を高めるストレッチです。

1.四つん這いになり、顔を上げて正面を向く
2.息を吸いながら肩甲骨を中心に軽く寄せ、背中を反らせる
3.息を吐きながら背中を丸めてお腹をのぞき込む
4.2~3を5回ほどゆっくりとした動作で繰り返す

背中のストレッチ

背中の筋肉をほぐし、腰が反らないようにするストレッチです。

1.両膝を抱え、背中を丸めるようにして膝を胸に近づける
2.そのまま10~30秒間キープする

痛みがない場合は、首を上げて行うことでストレッチ効果が高まります。

寝具を見直す

寝具を見直すこともぎっくり腰の予防につながります。人は寝ている間に20~40回ほど寝返りを打つといわれています。しかし、柔らかいマットレスを使うと、就寝中に腰が沈み込んでしまい、寝返りが上手に打てません。

寝返りが打てず、長時間同じ姿勢のまま過ごすと、睡眠時間を確保していても体が圧迫されて疲れが残りやすくなるため注意が必要です。

特に、ぎっくり腰などがあると寝返りの回数が減少するため、体圧を分散させやすい固めのマットレスや布団を選ぶことが大切です。なかでもぎっくり腰予防には、高反発マットレスやエアーマットレスがおすすめです。

また、体重によってマットレスの硬さを調整することで、寝返りを打ちやすくなりベッドから起きやすくなります。体重の重い方は硬め、軽い方は硬すぎないものを選びましょう。

まとめ

ぎっくり腰になった際は、反動をつけずにゆっくりと起き上がるのが痛みを最小限に抑えるポイントです。椅子に座ったり、荷物を持ち上げたりするときは、腰への負担を軽減するために正しい姿勢を心がけましょう。

洗顔や調理など、前かがみの姿勢になるときや、くしゃみや咳をするときも、ぎっくり腰になりやすいため注意が必要です。腰痛を予防したい方は、普段から腰への負担を軽減するための筋トレやストレッチを行い、寝具の買い替えを検討することをおすすめします。