すべり症の方がやってはいけないストレッチとは?緩和に効果的なケアも紹介

「すべり症」は、腰椎がずれて腰痛や下肢のしびれなどが起こる疾患です。すでにすべり症になっていて腰痛などに悩まされており、ストレッチをして痛みを和らげたいと思っている方もいるかもしれません。 しかし、すべり症の方には適さないストレッチもあるため、やっていいこと・避けたほうがいいことを知って悪化を防ぎましょう。今回は、すべり症の方がやってはいけないことや、効果的なケア方法を解説します。


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すべり症の方がやってはいけないストレッチとは?

腰椎すべり症の方にとって、ストレッチは痛みやしびれの緩和に有効です。ただ、ストレッチのやり方によっては逆効果になってしまうこともあるので注意が必要です。

具体的には、腰をひねったり反らしたりするストレッチは、腰椎に大きな負担がかかります。

また、腰に力を入れてぐっと伸ばすような強引なストレッチも、痛みやしびれが強くなるおそれがあるので避けましょう。

すべり症の方がやってはいけないこと

腰椎すべり症の方には、上記のストレッチ以外にもやってはいけない動きがあります。ここでは、腰椎すべり症の方がやってはいけないことを解説します。

激しい運動

腰椎すべり症による強い痛みがある場合は、走ったり跳ねたりといった激しく身体を動かすスポーツは控えたほうが良いでしょう。さらに、バーベルスクワットやベンチプレスなど、強度が高い筋力トレーニングも控えてください。

とはいえ、腰椎すべり症になったからといって運動が一切できなくなるわけではありません。適切にケアして痛みなどの症状が和らいでいけば、スポーツや筋トレを少しずつ再開することができます。

症状が強いうちはいったんお休みして、身体のケアに専念しましょう。

すべり症が起こっている部位へのマッサージ

腰椎すべり症による症状が出ている部位をマッサージしたり、揉みほぐしたりするのも避けてください。

特にうつ伏せで腰付近の筋肉を押して刺激されると腰椎に大きな負荷がかかります。力の強さやマッサージの仕方によっては、腰椎すべり症の症状が悪化する可能性があるので注意が必要です。

一方で、腰椎すべり症状を起こしていない部位へのマッサージは問題ありません。施術中に患部に触ってしまわないように、施術するスタッフに腰椎すべり症と診断されたことを必ず伝えておきましょう。

長時間の立ち仕事や重いものを持つ仕事

長時間立ちっぱなしの仕事や重い荷物を運ぶ仕事も、腰への負担が大きくなるので注意が必要です。最初は良くても、勤務時間が長引くにつれて腰の痛みが増したり、足のしびれたりすることも考えられます。

特に腰椎すべり症が重症化している方は、痛みや症状の強さに応じて休職したり、配置転換も含めて違う仕事を検討したりすることも大切です。

正しくない姿勢

姿勢の悪さも、腰椎すべり症を悪化させる原因になります。背中が丸まった状態の「猫背」や、腰が反っている「反り腰」などがクセになっている方は要注意です。

姿勢が悪いと背骨が前や後ろに曲がってしまい、身体の重心が傾いて腰への負担が慢性的に増えてしまいます。なかでも、姿勢が悪いまま長時間デスクワークを続けると腰への負荷が増えるため、できるだけ避けましょう。

道を歩くときも、スマートフォンを使いながら下を向いて歩いたり、あごが上がったような姿勢で歩いたりすると、腰に負担がかかるので注意しましょう。

生活習慣の乱れ

日々の生活習慣の乱れも、腰椎すべり症を悪化させる原因です。

栄養バランスが偏った食事や過度な飲酒は肥満につながるおそれがあります。体重が増えれば増えるほど腰椎への負荷が大きくなり、痛みやしびれなどの症状が悪化しやすくなります。

また、睡眠不足や喫煙習慣があると身体が緊張してしまい、血行不良が起こることもあります。血液の流れが悪くなると発痛物質が作られたり、神経が興奮状態になりやすくなったりして症状が重くなるおそれもあるのです。

すべり症の改善や緩和に効果的なケア

痛みやしびれがある方は、できるだけ症状を和らげて悪化させないようにしたいですよね。ここでは、腰椎すべり症の改善や緩和に効果的なケアを紹介します。

腰への負担が少ないストレッチ

腰に負担をかけない適切なストレッチであれば、血流が良くなって痛みを和らげることができます。ゆったりと時間をかけて伸ばすとリラックス効果も期待できるため、無理のない範囲で取り入れてみてください。

ここでは、腰への負担が少ないおすすめのストレッチを4つ紹介します。

腸腰筋ストレッチ

腸腰筋を伸ばすストレッチです。このストレッチでは、足を持ち上げたり、体幹を支えて安定させたりする働きがある腸腰筋をやわらかくできます。

1.片足を大きく前に踏み出す
2.両膝を曲げながら、前に出した足に体重をかける
3.元の姿勢に戻し、反対側も同様に行う

膝抱きストレッチ

「腰部脊柱起立筋(ようぶせきちゅうきりつきん)」という筋肉を伸ばします。腰部脊柱起立筋は背中を反らすときに動く筋肉です。

1.床に仰向けになり、両膝を両手で抱える
2.腰を丸めながら、膝をお腹に引き寄せる
3.そのまま数秒キープし、元の姿勢に戻す

寝る前や起床時など、ベッドの中でもできるのでチャレンジしてみてください。

背骨ストレッチ

背筋を伸ばすストレッチです。背筋が硬くなると椎骨同士の幅が狭くなり、腰痛につながります。ストレッチをして背筋をしっかり伸ばしておきましょう。

1.椅子に腰かけ、両手の指を組んで前に突き出す
2.腰を丸めて、手とお腹の間に丸を描くようなイメージで背筋を伸ばす
3.5~10秒キープし、元の姿勢に戻す

太ももストレッチ

太ももの前側を伸ばすストレッチです。前ももの筋肉が硬くなると骨盤が前に傾いてしまい、反り腰になりやすくなります。反り腰は腰椎すべり症の症状を悪化させかねないため、ストレッチでよくほぐしておきましょう。

1.床に横向きになって寝る
2.上になっている足首を上の手でつかみ、かかとをお尻に引き寄せる
3.前ももが伸びているのを感じながら30秒キープ
4.元の姿勢に戻し、反対側も同様に行う

腰への負担が少ない運動

腰に負荷がかからない程度で適度に運動することは、腰椎すべり症の症状をやわらげるのに有効です。痛みがあるからといって運動習慣をつけずにいると、体重が増加してかえって腰や膝に負担がかかることも考えられます。

腰への負担を抑えてできる運動は、水中ウォーキングが代表的です。水中であれば浮力が働いて腰への負荷が軽減され、無理なく運動ができます。問題なく歩けるようなら、通常のウォーキングやフィットネスバイクを使った運動をしても構いません。

運動を取り入れるときは、痛みの程度を見ながら無理はしないように注意しましょう。

姿勢の改善

姿勢の悪さが気になる方は、普段から姿勢を良くすることを意識してみてください。自分自身の姿勢を実際に見る機会はなかなかないので、スマートフォンなどで自分の姿勢を撮影して、客観的に見てみても良いでしょう。

ここで言う「正しい姿勢」は、胸をほど良く張りつつ、耳から肩にかけてのラインがまっすぐそろった状態です。首の位置が正しい場所できちんと整うと、自然と姿勢が良くなって腰への負担を減らすことができます。

猫背や反り腰など、悪い姿勢がクセになっている方は一度見直してみましょう。

猫背の改善方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
猫背の原因は?身体への悪影響や改善策も徹底解説

寝方の工夫

就寝時の寝相も含めた寝姿勢も重要です。寝方によっては腰の負担が大きくなり、腰椎すべり症を悪化させる原因になります。

なかでも、腰を反らすような寝相は避けたい姿勢です。就寝中は無意識に寝返りを打ちますが、腰が反ったまま数時間は姿勢が変わらないため、腰椎への負荷が大きくなる可能性も否定できません。

背中を丸めて布団に入る、仰向けになって足の下にクッションを挟んでおくなど、腰が反りにくい工夫をして寝るのがおすすめです。

腰用コルセットの着用

立ち仕事や重い物を運ぶ仕事を続けなければならない方は、腰用のコルセットを着用するのも良いでしょう。コルセットを巻いて腰付近の筋肉を固定しておくと、動いても腰椎への負担をある程度軽減できます。

腰用のコルセットはネットショップや、ドラッグストアで手軽に購入できるのも魅力です。コルセットを選ぶ際は、腰回りのサイズや素材の質感、通気性の良さなども忘れずにチェックしましょう。

ただし、コルセットはあくまでも補助的な役割にとどまるもので、腰椎すべり症の症状を改善する効果はありません。まずはストレッチや姿勢改善を習慣化することを優先し、それでも思うように痛みが和らがない、仕事が変えられないなどの事情があったらコルセットの使用を考えましょう。

規則正しい生活

体重が増加して肥満になると、腰や膝の負担が大きく増えます。そのため、肥満の原因になり得る過食や偏った食事、過度な飲酒は避けましょう。また、身体が緊張しやすくなる寝不足や喫煙といった習慣を見直し、毎日規則正しく生活することを心がけるのが重要です。

生活習慣を見直す方法はさまざまですが、おすすめの方法は「日記をつける」ことです。日記をつけると、自分がついやってしまう悪い習慣を見つけやすくなり、見直すべきポイントが自然と浮かび上がってきます。

生活習慣を見直すには、下記のような方法もおすすめです。

・飲食店やコンビニに行く回数を減らす
・就寝前はスマートフォンの使用を控える
・禁煙外来・減酒外来を受診する

急にすべての習慣を変えるのは難しいので、まずはひとつずつ、着実にクリアしていきましょう。

まとめ

腰椎すべり症で症状があるときは、腰をひねったり強く伸ばしたりするストレッチは逆効果です。ストレッチをするなら、腰に負担がかかりにくいストレッチを選びましょう。悪い姿勢や生活習慣の乱れも症状を悪化させる原因なので、日々の生活を見直す必要もあります。

無理のない範囲で身体を動かしつつ、適切なケアを続けていきましょう。

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