もともと身体が硬かったのが、年齢を重ねてさらに硬くなったと感じている方もいるのではないでしょうか。身体がもう少し柔らかければ、運動や仕事もより効率的にできるかもしれませんよね。
今回は、身体が硬くなる理由や、身体が柔らかくなるストレッチを解説します。
身体が硬くなるのはなぜ?
そもそも、関節の構造や筋肉の質は生まれつき個人差があります。柔軟性も人それぞれです。
身体が硬くなる原因として、日々の生活習慣や運動習慣、加齢などがあげられます。普段から身体を動かす機会が少ないと、関節を動かす筋肉の柔軟性が低下して、身体が硬くなっていきます。
もともと身体が硬かった方が運動不足のまま年を重ねるとより硬くなりやすいため、身体の硬さが気になるなら、柔軟性を高めるためのストレッチを始めてみましょう。
身体を柔らかくするメリット
ここでは、身体を柔らかくすることで得られる4つのメリットを紹介します。
姿勢の改善
身体を柔らかくすると、身体全体のバランスが整って姿勢の改善が期待できます。
肩まわりの柔軟性が低下すると、肩甲骨や胸郭の動きが制限され、猫背になりやすくなります。
また、股関節周辺の筋肉が硬くなると、骨盤が本来ある位置からずれてしまい、姿勢が悪くなるので注意が必要です。
ストレッチを継続して身体の柔軟性を高めると、肩まわりの柔軟性が良くなるほか、骨盤のバランスが整うため、悪い姿勢を改善しやすくなります。
ケガの予防
身体を柔らかくすることで、ケガの予防ができるのもメリットです。
身体の柔軟性が高ければ、身体にかかる衝撃を分散できるようになります。肩や腰など、特に重要な関節のケガは日常生活に大きな影響を与えるので、ストレッチでリスクの軽減が期待できるのも魅力です。
ストレッチをすると筋肉そのものが温まるので、運動前に行っておけば肉離れや捻挫といった偶発的な怪我の予防が期待できます。
冷え性の緩和
ストレッチを続けて柔軟性が高まってくると、身体の血行が促進されます。結果として末端に行き渡る血流が増え、冷え性が緩和されるのもメリットのひとつです。
なかでも、ポンプ作用のあるふくらはぎや太ももなどを中心に、足の筋肉を柔らかくすれば、血液を押し上げる力をアップできます。冷え性が気になる方は、足のストレッチを試してみましょう。
むくみの改善と疲労回復
リンパ節が集中している部分の柔軟性が高まると、老廃物が流れやすくなってむくみの改善が期待できます。疲労物質の排出も促進されるので、疲れが気になる方も無理のない範囲でのストレッチをおすすめします。
立ち仕事などで下半身のむくみが気になる場合は、お尻から下の部分を伸ばすストレッチがおすすめです。下半身には大きな筋肉があるため、重点的に伸ばすと良いでしょう。
身体を柔らかくするストレッチ6選
では、実際に身体を柔らかくするストレッチを紹介します。運動初心者でも無理なくできるストレッチをまとめているので、まずは毎日10分続けてみてください。
首まわりのストレッチ
首周辺の筋肉をほぐすストレッチです。
1.座った状態で身体を真っ直ぐ前に向け、頭を右側に傾け、右手を左側の耳に添える
2.余計な力は加えず、腕の重みを乗せるようにして首の左側を伸ばす
3.鼻から大きく息を吸い、吐く息で首の力を抜き、首の伸びを深める
4.反対側も同様に行う。
首を伸ばすときに、手で押し倒すのではなく、手の重みを使って首を倒す感覚で行うのがコツです。
カーフストレッチ
「カーフ」とは、下腿の裏側のことを指します。ふくらはぎからアキレス腱の辺りを柔らかくするストレッチです。
1.軽く膝を曲げた状態で、床に両手と両足をつく。身体は床と平行ではなく、お尻を上にあげて「く」の字になるようにする
2.左足を伸ばし、かかとを床につける。このとき、伸ばしている左足のかかとが浮かないように、右足を左足の上にクロスさせて押さえる。この状態を5~10秒キープする
3.右足も同様に行う
1セットは、2~3の動きを交互に5回ほど繰り返すのが目安です。長時間座りっぱなしで足のむくみが気になる人に適しています。
お尻のストレッチ
下半身の硬さを和らげるストレッチです。下半身のむくみが気になる方や、大きな筋肉をしっかりほぐしたい方に適しています。
1.床に仰向けになり、左足を右の太ももの上に乗せる
2.右の太腿を引き寄せ、20~30秒キープする
3.反対側も同様に行う
腿を引き寄せるときは、すねや太腿どちらを抱えても問題ありません。引き寄せてキープするのがつらい場合は、1の体勢でゆったりと呼吸するだけでも効果が期待できます。
ハムストリングスのストレッチ
腿裏の「ハムストリングス」が効率良く伸びるストレッチです。
1.床に仰向けになり、片足を抱えてお腹に近づける
2.抱えたほうの膝を、可能な限り伸ばす
3.元の姿勢に戻る
4.腿裏の筋肉の伸びを感じながら繰り返す
膝を伸ばすときは、太腿がお腹から離れないように注意しましょう。
股関節のストレッチ
硬くなりがちな股関節を柔らかくするストレッチです。腰痛や坐骨神経痛などがある場合は、積極的に股関節のストレッチをすると良いとされています。
1.両足を前後に大きく開いて立つ
2.両膝を曲げながら、上半身をまっすぐおろす
3.前の太ももが床と平行になったら10秒キープする
4.元の姿勢に戻り、3回繰り返す
5.前後の足を組み替えて同様に行う
体勢がふらつくときは、壁や椅子の背もたれなどに触れながら行うと安定します。
胸郭のストレッチ
胸にある背骨のような胸椎の動きを良くするストレッチです。肩甲骨や首の関節も動きやすくなるため、肩こりなどに悩んでいる方にも適しています。
1.床に横向きで寝て、上になった方の膝を90度に曲げて床につける
2.両手を伸ばして合わせ、膝を出した方の床につける
3.上半身をひねりながら、片手を反対側の床につける
4.元の姿勢に戻し、繰り返し行う
背中を十分にひねり、伸びている感覚を確かめながら行うのがコツです。膝が床から離れないように注意しながら伸ばしましょう。
身体を柔らかくするストレッチをする際のポイント
身体を柔らかくするストレッチは、正しく行うことでより高い効果が得られます。ここでは、ストレッチをするときの5つのポイントを紹介します。
ポイント1|ゆっくりと無理をせず行う
ストレッチするときは、決して無理をせずにできる範囲でやることが重要です。
とにかく柔らかくしようとして無理に伸ばすと、かえって筋肉が緊張して硬くなります。自分が気持ち良いと感じる場所で止めるのがコツです。
筋肉を伸ばすときに反動をつけて動かすと、筋繊維にダメージを与えやすいのでゆっくりと伸ばすようにしましょう。
ポイント2|息を止めないようにする
ストレッチをしている間は、呼吸が止まらないように意識することも重要です。
息を止めると身体が緊張して筋肉が伸びにくくなるだけでなく、血圧の上昇も引き起こすこともあります。常に深く丁寧な呼吸を心がけて行いましょう。
特に、筋肉を伸ばすときに息を吐くと筋肉が緩みやすくなり、よりストレッチ効果が増します。動きと一緒に呼吸のリズムも合わせてみてください。
ポイント3|入浴後に行う
ストレッチをやるなら、お風呂上りで身体が温まっているときがベストです。
身体を温めると、凝りかたまった筋肉が緩みやすくなります。そのため、入浴後のストレッチはより筋肉が伸びやすいので、短い時間で効率的に伸ばしたい方におすすめです。
ストレッチをお風呂上がりから寝るまでのナイトルーティンに組み込んで、毎日の習慣にすると良いでしょう。
ポイント4|各部位を20秒以上伸ばす
ストレッチで筋肉を伸ばすときは、目安として20秒以上伸ばすのがコツです。
ストレッチを始めてから筋肉が十分伸びるまで、大体5~10秒はかかるといわれています。そのため、筋肉が十分伸びた状態を20秒以上キープするのが基本です。
部位ごとに20秒以上となると、毎回全身をストレッチするのは時間的に難しくなります。自分が特に硬いと思う部分から優先的に伸ばしていくのがおすすめのやり方です。
ポイント5|いろいろな方向に少しずつ動かす
ストレッチするときは、同じ関節でも方向を少しずつ変えながら伸ばしていきましょう。
特に股関節はあらゆる方向に動く「球関節」であるため、バランス良くいろいろな方向に動かすのが大切です。
ストレッチは一度やるだけで動きが良くなったように感じることもありますが、一度でやめてしまうとすぐに元の状態に戻ってしまいます。伸ばす部位や方向を変えながら毎日継続し、習慣化していきましょう。
まとめ
身体の柔らかさは生来の要素も関係していますが、日々の生活習慣や運動の頻度、加齢によって硬くなりやすいとされています。身体が硬いとさまざまなトラブルの原因になり得るので、毎日10分でもストレッチを取り入れて筋肉を伸ばしておくのがおすすめです。
無理のない範囲で伸ばしつつ、毎日コツコツと積み重ねていくことが大事なので、お風呂上りなどにぜひやってみてください。