顎関節症で耳が痛いときの対処法は?原因や日常でできる予防法も解説

顎関節症の代表的な症状は、あごの関節の痛みや口の開きにくさですが、なかには耳に痛みがある方もいるのではないでしょうか。顎関節と耳の組織は密接に関係しているため、顎関節症によって耳の痛みが生じている可能性があります。
今回は、顎関節症で耳が痛くなる原因や、耳が痛いときの対処法について解説します。


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顎関節症とは

顎関節症(がくかんせつしょう)とは、あごの関節とそこに関連する筋肉に異常が生じることで、あごの動きに問題が生じる病気です。

顎関節は耳のすぐ前に位置し、あごを利用して噛む・話すといった重要な動作を支えています。これらの機能は、顎関節やその周囲の筋肉、靭帯が協調して働くことで正常に保たれているのです。

しかし、何らかの原因でこれらのバランスが崩れると、顎関節症を発症します。顎関節症を発症すると、あごの痛みや、口が開けにくいなどの症状がみられます。

顎関節症で耳が痛くなる原因

ここでは、顎関節症で耳が痛くなる原因について解説します。

顎関節と耳の組織は密接に関係している

顎関節と耳は解剖学的に近い位置にあり、密接に関係しています。しかし、その役割や機能、形状が大きく異なるため、耳の不調が起こったときに顎関節症が深く関わっている可能性があることには気づきにくいでしょう。

顎関節症になると、下顎骨(かがくこつ)、いわゆる下あごと近い位置にある耳の組織にも影響し、耳の痛みや詰まり、耳鳴り、難聴といった耳の不調が起こることが多いのです。

顎関節が変形することにより痛みが生じる

顎関節症は、耳の穴の前に位置する顎関節内で、本来の位置よりも関節円板(顎関節の骨と骨の間にあるクッションのような役割の組織)が前方にずれたり、変形したりすることで起きる症状です。

下顎骨の突起が口を開けたり閉めたりするたびに、関節円板を圧迫することで痛みが生じます。

関節円板への圧迫が続くと、顎関節が徐々に変形し、下顎頭は変形した顎関節を乗り越えるようにして前方に動く必要があります。そうなると、顎関節の負担はさらに大きくなり、痛みが強くなってしまうのです。

この痛みが口の開閉時以外でも続くと、耳の痛みとして自覚するケースがあります。

顎関節症で起こりうる耳の症状

ここからは、顎関節症で起こりうる耳の症状について解説します。

耳鳴りがする

顎関節症で最も多くみられる症状が耳鳴りです。顎関節に生じた歪みが周囲のリンパの流れに影響を与えることで、波音のような「ザーザー」といった耳鳴りや、高い金属音のような「キーン」という耳鳴りが生じることがあります。

耳鳴りの音には、ほかにも下記のようなものがあります。

・「ピーー」:高い電子音のような音
・「ジーン」:蝉が鳴くような音
・「ブーン」:蚊が飛ぶような音
・「ボーン」:エコーのかかったような反響する音
・「ゴーン」:お寺の鐘が響いているような低い音

あごの歪みがさらにひどくなると、脳神経のひとつである内耳神経が圧迫され、さらに大きな音の耳鳴りがすることもあるでしょう。

耳の奥が痛む

顎関節の周囲の靭帯・骨などの組織や、咀嚼筋(外側翼突筋、内側翼突筋)にゆがみや炎症、緊張が起こると、耳の奥が痛むことがあります。

顎関節症を発症すると、耳の外側よりも内部に痛みが生じることが多いです。

食事をしたり、口を大きく開けたりするときなどに、うずくような痛みやズキッとした痛みが生じたりするのが特徴です。

耳が詰まる

耳の詰まりは、顎関節の組織に生じたゆがみや腫れが、周囲の音を集める器官である外耳道(がいじどう)を圧迫し、狭くなることで生じます。耳が詰まると、プールで耳に水が入ったような感覚を覚えることが多い傾向にあります。

耳鼻咽喉科関連の疾患は見られないのに、あごの不調によって耳が詰まる場合には、顎関節症によって引き起こされている可能性があるでしょう。

難聴になる

難聴には、耳の最も内側にあたる内耳(ないじ)の神経系に問題が生じ、音の電気信号が脳にうまく伝わらなくなる「伝音性難聴」、内耳の器官そのものに問題が生じて起こる「感音性難聴」があります。

顎関節症によって起こる難聴は、内耳の神経伝達系に対して、顎関節の腫れや歪みが影響していることが考えられます。

耳鼻咽喉科や他の疾患が見られない難聴の場合には、顎関節症を発症している可能性があります。

めまいがする

顎関節症で生じた歪みが、顎関節の一部である側頭骨に影響し、内耳にある三半規管にも影響することがあります。

三半規管は、リンパ液の流れによって身体の平衡感覚を調整している繊細な器官であるため、顎関節症の影響を受けてめまいの症状が現れることがあるのです。

めまいには、身体がグラグラとするような感覚がある「浮動性のめまい」と、周りの風景や自分自身がグルグルと回っているように見える「回転性のめまい」があります。顎関節症の場合は「浮動性のめまい」のケースが多く見受けられます。

顎関節症で耳が痛いときの対処法

ここからは、顎関節症で耳が痛いときの対処法を解説します。

軽いマッサージを行う

顎関節症を発症した場合は、顎周辺の筋肉を軽くマッサージすることで、血行を促進して痛みや緊張を緩和するのがおすすめです。

顎関節症を緩和するためのマッサージ方法を、下記で2つ紹介しますので、日常生活に取り入れてみてください。

・咬筋・側頭筋のマッサージ

咬筋(こうきん)は、ほお骨の下からエラのあたりにかけて位置する筋肉です。エラ周辺に手を置き、強く噛み締めた際に収縮する部分にあります。

咬筋の位置を確認できたら、エラの部分に4本の指を当て、円を描くように優しく咬筋をほぐしましょう。ただし、強く押しすぎないように注意してください。左右で硬さに差がある場合は、硬くなっているほうを長めにもみほぐすと、あごのバランスが整いやすくなります。

側頭筋(そくとうきん)は、こめかみから耳の上側にかけて位置する筋肉です。こめかみあたりに手を置き、強く噛み締めたときに収縮する部分にあります。

側頭筋の位置が確認できたら、側頭部に指の腹を当て、円を描くように優しくマッサージしましょう。

・あごのモビライゼーション

モビライゼーションとは、関節を動かすことで可動域や柔軟性を改善したり、痛みを軽減したりする手法です。

顎関節症のモビライゼーションでは、姿勢の悪さによって生じるあごの骨のずれを改善する効果が期待できます。

1.口の中の上方に舌をつける
2.指をあごに当て、顎関節の動きを確認する
3.軽く口を開いた状態のまま、反対側の手を使ってあごを後方に押し込む
4.あごが後方に動くのを感じたら元に戻す
5.痛みの出ない範囲で、1〜4の動きを10回ほど繰り返す

硬い食べ物を避けてあごの安静を保つ

顎関節症による耳の痛みがある場合は、大きく口を開けたり、硬いものを噛んだりすることは避けて、やわらかい食事を摂ることを心がけましょう。

またあごをリラックスさせることや、上下の唇を軽く触れさせ、歯を接触させないようにすることが、顎関節症の症状に効果的とされています。

歯科医院や口腔外科を受診する

顎関節症による耳の痛みがあるときは、歯科や口腔外科を受診し、正確な診断のもと症状に合った治療法や予防法を提案してもらいましょう。

また医師に相談する際は、症状の発症時期や痛みの度合い、頻度、生活習慣(食事内容、噛む癖など)を具体的に伝えると、診断がスムーズになります。

顎関節症による耳の痛みを日常で予防する方法

ここからは、顎関節症による耳の痛みを日常で予防する方法を解説します。

適切な食事や普段の姿勢を意識する

顎関節症による耳の痛みは、ストレスを軽減することや、適切な食事、正しい姿勢を心がけることで予防につながる可能性があります。

また、寝るときの姿勢は仰向けで寝るのがおすすめです。うつぶせ寝は頭の重さがあごに圧力を加えるため、顎関節症を引き起こすリスクを高めます。

運動やストレッチを日常に取り入れる

顎関節症による耳の痛みには、ストレッチやウォーキングなど適度な運動を取り入れて、筋肉の緊張を緩和させることが有効です。

顔のマッサージも、筋肉をほぐして緊張を和らげる効果があります。手の平や指を使い、側頭部から頬に向かって撫でるようにマッサージしましょう。これを1日10回程度実施すると効果的とされています。

また、深呼吸や瞑想などを取り入れることも、筋肉をリラックスさせるのに効果的です。

まとめ

顎関節症で耳が痛くなる要因として、顎関節と耳の組織が密接に関わっていることがあげられます。耳に痛みが生じた場合は、硬い食べ物を避け、軽くセルフマッサージをしながら安静を保ちましょう。

痛みが続く場合は、すぐに歯科や口腔外科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。