【症状別】膝の裏が痛い原因|おすすめのストレッチ・マッサージも紹介

階段の上り下りや立ち仕事、運動をしたときなどに膝の裏が痛いと、何をするにも不快で気になってしまいますよね。膝の裏の痛みにはさまざまな原因があります。膝裏の状態や痛む状況などからもある程度推測できるので、自分に適した対処法を探してみましょう。 今回は、膝の裏の痛みを解説し、すぐにできるストレッチやマッサージを紹介します。


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膝の裏が痛い原因とは?

膝の裏が痛い場合は、関節や血管の病気が隠れている、炎症が起きている、リンパが詰まっているなど多くの原因が考えられます。それぞれ詳しくみていきましょう。

膝の裏が腫れている・コブができている場合

膝の裏を見たとき、膨らみや腫れがあったり、膝を曲げたときに圧迫されるような感覚や痛み、つっぱり感が感じられるケースもあります。この場合は、ふくらはぎや太もも裏といった膝裏以外の部分にも異常を感じることが多い傾向です。

見た目にも異常がある場合は、早急に治療すべき疾患が隠れている場合もあります。気になる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

膝裏に腫れやコブがある場合は、次の疾患が考えられます。

ベーカー嚢腫

ベーカー嚢腫は、関節の動きをなめらかにする働きがある滑液という液体が過剰に分泌されてしまい、関節包という袋に溜まってコブのようになってしまう疾患です。

見た目ほど痛みは強くなく、膝裏の腫れに気づかないまま生活している方もいます。しかし、放置して大きく腫れてくると、膝を曲げたり伸ばしたりしたときに違和感や痛みが生じたり、膝裏に何かが詰まっているように感じることもあります。

また、嚢胞が破裂して痛みを感じるケースもみられます。大きくなった嚢胞が周りの血管や神経を圧迫することもあり、さまざまな症状を引き起こすことがあるので注意が必要です。

ベーカー嚢腫は単独で起こるケースより、変形性膝関節症や半月板損傷といった膝関節付近で起こった疾患が原因で起こることが多いとされています。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減って浮遊し、その軟骨の破片が滑膜に取り込まれて炎症が起きる疾患です。膝を伸ばしたときに痛むほか、階段の上り下りがきつい、膝周辺の組織に水が溜まる、「ミシミシ」「ゴリゴリ」といった音が聞こえるなど、さまざまな症状が現れます。

そもそも膝関節とは、太ももにある大腿骨とすねにある脛骨をつなぐ組織です。大腿骨と脛骨は軟骨で包まれており、外から受ける衝撃を緩和するクッションのような役割をもっています。変形性膝関節症では、膝のクッション性が低下することで痛みが生じています。

変形性膝関節症の原因として、加齢や筋力低下、肥満で膝に負担がかかっているといったことがあげられます。痛みが出ているにもかかわらず放置してしまうと、関節の変形が進んで、歩くこと自体が難しくなるので注意が必要です。

半月板損傷

半月板損傷も、膝の裏が痛む原因としてあげられます。

半月板は大腿骨と脛骨の間にある三日月のような形をした軟骨です。半月板がきちんと機能することで、膝の動きを安定させたり、運動をサポートしたりしています。

何らかの原因で半月板が損傷すると、痛みや不快感が現れます。症状の度合いによっては日常生活や運動が困難になることもあるのです。

半月板損傷の原因はケガや加齢による半月板変形に加え、立ち仕事を長時間続けたり、重い物を持ち上げたりして膝に過剰な負担がかかり続けた場合などが考えられます。

関節リウマチ

関節リウマチは、身体に悪影響を与えるウイルスや細菌を攻撃する免疫細胞に異常が起き、自分の関節を外敵と判断して攻撃してしまい、炎症を起こした状態です。症状を放置していると関節の機能そのものが低下し、関節の変形を起こすケースもあります。

関節リウマチは膝以外の関節にも起こるのが特徴で、全身の関節にも痛みが起きているようなら関節リウマチになっている可能性も否定できません。

エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症/肺塞栓症)

いわゆるエコノミークラス症候群は、正式には深部静脈血栓症または肺塞栓症(はいそくせんしょう)のことを指します。

同じ姿勢を長い時間続けたことが原因で血液の流れが滞り、深部静脈に血栓が形成され、その血栓の一部が肺に流れ着き、肺の血管を閉塞してしまう疾患です。

この疾患ではふくらはぎに症状が出ることが多いとされていますが、血栓ができて詰まっている箇所によっては、膝裏に痛みなどの症状が出ることもあります。特に、片足だけに痛みや腫れ、変色などの症状が出ているケースは、エコノミークラス症候群になっているおそれがあります。

エコノミークラス症候群は命に関わる事態にもなりかねない疾患です。長期間同じ体勢でいた後に呼吸が急にしにくくなった、息苦しさを感じたという感覚があったら、様子をみず、ただちに医療機関を受診しましょう。

激しい運動にともなう炎症

激しい運動をして膝を酷使したときに、膝の裏で炎症を起こしてしまうこともあります。

膝関節で炎症が起きると、膝の動きをなめらかにするために必要な関節液が適切に分泌されなくなります。分泌のバランスが崩れて過剰に関節液が出てしまうと、膝に水が溜まってベーカー嚢腫の原因になることもあるのです。

特に、日ごろから運動する習慣がない方が急に運動をすると、筋力が衰えているところに大きな負荷がかかり、より炎症を起こしやすいので注意しましょう。

膝裏を伸ばしたときにピキッとした痛みがある場合

足を真っすぐにして膝裏を伸ばしたときに痛みを感じるケースもあります。何もせず安静にしているときは無症状ですが、立ち上がったり歩いたりと動作をしたときに痛むことが多い傾向です。

膝裏を伸ばしたときに痛みを感じるときは、次のような原因が考えられます。

後十字靭帯損傷

膝裏にある靱帯を損傷していると痛みが出ることもあります。膝裏の靱帯は後十字靭帯(こうじゅうじじんたい)といい、太ももの骨とすねの骨を繋ぐ役割がある組織です。

後十字靭帯は後ろへの動きをコントロールする機能があり、この靱帯を傷めると膝関節の動きが不安定になります。そのため、膝を真っすぐ伸ばすと痛みを感じるのです。

後十字靭帯は、競技中や不慮の事故が原因で膝に大きな衝撃を受けたときに傷めてしまうケースが多くみられます。

反張膝

反張膝(はんちょうひざ)は膝が通常とは逆方向に反っている状態を指し、膝の裏の痛みを引き起こす原因のひとつです。膝裏が過剰に引っ張られることで痛みが出るとされています。

反張膝になりやすい方には、次のような特徴があります。

・重心が足裏の後方に傾いている
・膝の筋力が落ちている
・膝が後ろに反るような姿勢がくせになっている

歩行や正座をしたときに膝裏の筋が痛む場合

歩いたときや正座したときに痛みを感じる場合は、膝裏からふくらはぎにかけて広がっている腓腹筋(ひふくきん)が原因になっていることもあります。

身体の重心が前方向に偏っている方は、正座や屈伸運動をしたときに腓腹筋に負荷がかかって痛みが出やすくなるのです。具体的には、歩いたり階段の上り下りをしたりすると痛みを感じやすくなります。

腓腹筋は単に立っているだけでも使うので疲れが蓄積しやすいのが特徴です。それに加えて、走ったり跳んだりといった動きが続くスポーツをしていると、膝の裏を断続的に伸ばすことが多く、筋肉に負荷がかかってより傷めやすい状況になります。

ほかにも、膝にボールなどがぶつかるような打撲が原因で腓腹筋を損傷することもあるので注意しましょう。

膝を曲げたりしゃがんだりしたときに膝裏のリンパが痛い場合

膝裏には老廃物を排出する役割をもつリンパ節という器官があります。リンパ節は身体のさまざまな場所に点在し、老廃物や余分な水分を体外に出すための循環を促す役割を持っています。

リンパ節は運動不足やストレス、身体の冷えなどが原因で流れが滞ると、リンパ節が腫れて痛むことがあります。

痛みそのものはそこまで強くありませんが、膝を曲げたときに詰まったような感覚が出ることが特徴です。

膝の裏の痛みにおすすめのストレッチ・マッサージ

膝裏の痛みが強くなく、エコノミークラス症候群のように明らかな異常がない場合は、ストレッチを取り入れて膝裏を動かすのがおすすめです。ストレッチにより筋肉が温まり、柔軟性の向上に役立ちます。

ただし、動かすと膝裏に痛みが出る場合、膝裏の痛みで医療機関を受診している場合は、ストレッチをしても良いか医師に確認してから行いましょう。

ここでは、膝の裏の痛みにおすすめのストレッチを4つ、マッサージを1つ紹介します。

腓腹筋のストレッチ

踏み台を使って行うストレッチです。疲労が溜まりやすい腓腹筋を伸ばしていきます。

1.踏み台の前に椅子を置く
2.踏み台に乗り、椅子の背もたれに両手を乗せる
3.片足のかかとを踏み台から出し、膝が曲がらないようにしながらかかとを下方向にゆっくり落とす
4.ふくらはぎが伸びているのを感じながら、20~40秒キープする
5.元の姿勢に戻し、反対側も同様に行う

股と股関節のストレッチ

寝ながらできるストレッチで、膝の可動域を広げる効果が期待できます。

1.床に仰向けになり、片膝を曲げて膝に両手を添える
2.膝を胸に近づけるように、痛みを感じない程度まで引き寄せる
3.そのまま10秒キープし、元の姿勢に戻す
4.反対側も同様に行う

1セット3~5回とし、片足につき3セットが目安です。

大腿四頭筋のストレッチ

太ももの前側にある大腿四頭筋を伸ばすストレッチです。大腿四頭筋の柔軟性を高めておくと、膝の動きがよりなめらかになります。

1.うつ伏せ、あるいは横向きに寝て、片足を曲げてつま先を手で持つ
2.かかとをお尻に近づけるように引き寄せる
3.前ももが伸びているのが感じられるところで、30~60秒キープする
4.ゆっくり元の姿勢に戻し、同じ動きを繰り返す

1セット2~3回とし、片足につき3セットが目安です。

ハムストリングスのストレッチ

太ももの裏にあるハムストリングスを伸ばすストレッチです。ハムストリングスは膝を曲げるときに動く筋肉で、座りっぱなしの姿勢が多い方は固くなっていることが多いとされています。

1.椅子に浅く座り、片足を真っすぐ前に伸ばしてつま先を天井に向ける
2.背筋を伸ばした状態で上体を倒し、指先でつま先を触りに行く
3.太ももの裏が伸びているのが感じられるところで、30~60秒キープする
4.ゆっくり元の姿勢に戻し、同じ動きを繰り返す

このストレッチも、1セット2~3回とし、片足につき3セットが目安です。

大腿二頭筋のマッサージ

テニスボールを使って、膝を曲げるときに使う大腿二頭筋をほぐすマッサージです。

1.片足は伸ばし、もう片方は膝を立てた状態で床に座り、伸ばしたほうの足の膝裏の外側にテニスボールを挟む
2.かかとを軸にして、つま先を左右に揺らす
3.テニスボールを太ももの中央、足の付け根に移動し、同じ動きを繰り返す

まとめ

膝の裏が痛いときは、何らかの疾患が隠れていることもあります。なかには放置すると深刻な事態を引き起こすものもあるため、気になる症状があったら早めに医療機関を受診することが大切です。痛みが強くなく、明らかな異常がない場合は、ストレッチを適度に取り入れ、膝や太もも周りの筋肉をほぐしましょう。