眠れない原因とは?
夜になかなか寝つけなかったり、布団に入っても目が冴えてしまったりする方もいるでしょう。眠れない原因はひとつではなく、日々の生活や身体の状態などが関係している場合があります。ここでは、代表的な原因を紹介しましょう。
ストレス
眠れない理由の代表格ともいえるのが、日常生活で感じるストレスです。仕事や人間関係、将来への不安など、ストレスが蓄積した状態が続くと、心身が緊張状態のまま夜を迎えることになります。
このような状態では自律神経のうち交感神経が優位になり、リラックスできません。また、ストレスは睡眠を促すホルモン(メラトニン)やセロトニンの分泌にも影響を及ぼし、入眠を妨げる要因となります。
生活リズムの乱れ
人間の身体は、体内時計によって眠気と目覚めのサイクルが自然に調整されています。このサイクルは、体内時計と呼ばれ、約24時間周期です。
しかし、夜ふかしや不規則な食事時間、昼夜逆転の生活が続くと、このリズムが崩れてしまうため注意が必要です。体内時計のリズムが乱れると、自然な眠りが妨げられてしまいます。
また、就寝直前までスマートフォンやPCの強い光にさらされることで、脳が昼間と錯覚し、寝付きが悪くなります。夜更かしや不規則な食事時間は、睡眠にとって大敵なのです。
寝る前の刺激物の摂取
就寝前にコーヒーや紅茶、緑茶などを摂取すると、夜眠れなくなってしまうことがあります。これらの飲み物には、覚醒作用のあるカフェインが含まれています。眠ろうとしても身体が目覚めた状態になってしまい、入眠を妨げてしまうのです。
特に、寝る前の6時間以内の摂取は注意が必要です。また、アルコールは一時的に眠気を促しますが、睡眠の質を低下させることがわかっています。夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてしまったりする原因となる場合もあります。
外的環境
眠りにくさの原因には、寝室の環境も関係しています。例えば、寝室の温度や湿度が快適でないと、スムーズな入眠を妨げる原因になりかねません。
暑い時期は寝苦しさを感じやすく、寒い時期は身体が冷えて眠れないことがあります。また、外から聞こえる音や差し込む光が気になって、脳が休まらず眠りが浅くなるケースもみられます。
病気の症状
身体の不調が原因で眠れない場合もあります。例えば、咳や喘息などの呼吸器疾患、頻尿を引き起こす前立腺や膀胱の問題、胸痛や動悸といった症状をともなう心臓の病気、腰痛や関節リウマチといった慢性的な痛みなどがさまざまです。
ほかにも、睡眠中に無呼吸状態となる睡眠時無呼吸症候群などがあげられます。睡眠の質が低下していると感じる場合は、病気の可能性も考えて、病院への受診を検討することが重要です。
眠れないときの対処法
なかなか寝つけないときは、身体を緩める習慣を取り入れることが大切です。ここでは、眠れないときの対処法を5つ紹介します。
腹式呼吸をする
深くゆったりとした呼吸は、交感神経の緊張を和らげ、副交感神経を優位にします。リラックス状態へ導かれることで、自然と眠気が訪れることもあります。腹式呼吸のやり方は下記の通りです。
1.心地良い体勢で横になる
2.お腹を膨らませながら、鼻からゆっくり息を吸い込む
3.お腹をへこませるように、口から息を吐き切る
上記のやり方を無理のないペースで数分間繰り返しましょう。
ぬるめのお風呂に入る
人間は深部体温(身体の中心部の温度)が緩やかに下がるタイミングで、眠気を感じやすくなります。そのため、就寝の1~2時間前にぬるめのお風呂(約40℃)に15分ほどつかるのがおすすめです。
お風呂に入ることで体温を上げ、その後に緩やかに体温が下がっていく過程で、脳が「眠る準備が整った」と判断し、スムーズな入眠を促します。
リラックスできる飲み物を取る
眠れないときは、カフェインを避け、身体を温める飲み物を飲みましょう。副交感神経を優位にするおすすめの飲み物は、下記の通りです。
・ホットミルク
温めた牛乳には、眠りを誘うホルモンのメラトニンの生成に必要なトリプトファンが含まれています。ゆっくり飲むことで身体が温まり、心も落ち着きます。
・ハーブティー
カモミールティーには不安や緊張を和らげる働きがあります。また、ラベンダーのハーブティーも優しい香りで心をほぐしてくれます。
ツボを押す
百会という頭頂部のツボを押すことで、心身の緊張が緩み、気持ちが静まるといわれています。
まず、両手の指先や手のひらを使って、息を吐きながら5秒ほど優しくゆっくり押します。力加減は「気持ち良い」と感じる程度が目安です。押した後は軽く息を吸い、これを数回繰り返すことで、徐々に心が落ち着いていきます。
脱力法を試してみる
筋弛緩法は、全身に力を入れた後に脱力することで、筋肉を緩めて身体をリラックスさせる方法です。やり方は下記の通りです。
1.指をしっかりと握りしめ、ぎゅっと力を込める
2.1のまま5秒ほどキープした後、力を抜く
3.力が抜ける感覚を味わう
4.足首をしっかりと曲げてアキレス腱を伸ばす
5.5秒ほどキープした後、脱力し、全身の緩みを感じる
脱力感を繰り返し味わうことで、無理なく自然な眠りにつけるようになるでしょう。
どうしても眠れないときは?
「早く寝ないと……」と思えば思うほど、かえって目が覚めてしまうことは少なくありません。暗い部屋で目を閉じていると、つい不安や考えごとが頭に浮かんで眠れなくなってしまうこともあるでしょう。そんなときは、無理に眠ろうとせずに、一度ベッドから離れて、気分転換するのがおすすめです。
例えば、好きな本を読んだり、温かい飲み物を飲んだりするのも良いでしょう。眠気が訪れたタイミングでベッドに戻ると、眠りにつきやすくなります。「眠らなければ」というプレッシャーがあるときは、ぜひ試してみてください。
夜に眠くなるための習慣
夜ぐっすり眠るためには、日中の過ごし方や寝る前の習慣がポイントです。ここでは、夜に眠くなるための習慣を紹介します。
日中に光を浴びる
起床後は、カーテンを開けて太陽の光を浴びることが大切です。体内時計は、朝に光を浴びることでリセットされ、活動モードへと切り替わります。
日中にしっかりと光を浴びておくことで、睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が促され、夜になると自然と眠気を感じやすくなります。
特に、朝起きてから2,500ルクス以上の光を浴びると、体内時計のリズムが整いやすくなるといわれています。天気の良い日はもちろん、曇りの日でも効果が期待できるため、短時間でも太陽の光を浴びるのがおすすめです。
運動を習慣化する
適度な運動を日々の生活に取り入れると、睡眠の質が高まりやすくなります。一度だけの運動よりも、継続的な運動のほうが不眠の改善には有効です。ただし、寝る前の激しい運動は逆効果になることもあるため、注意が必要です。
ウォーキングや軽めのジョギングなどの継続しやすい有酸素運動を心がけましょう。就寝時間から逆算して3時間ほど前に行うのが理想です。
入眠儀式を決める
入眠儀式を取り入れることで、心身ともに眠りの準備に入りやすくなります。例えば、パジャマに着替える、アロマの香りを楽しむ、ストレッチをするなど、簡単なルーティンで構いません。
毎晩同じことを繰り返すことで、「この流れの後は眠る時間」と脳が覚えてくれるようになり、自然と眠気が訪れやすくなります。
寝る前に液晶画面を見ない
スマートフォンやPC、テレビなどの画面から出るブルーライトは、脳を刺激し、睡眠ホルモンの分泌を妨げてしまいます。
そのため、就寝の30分前には画面を見るのを控えましょう。「お風呂から出たらスマートフォンは見ない」など、自分なりのルールを決めると続けやすくなります。
まとめ
夜眠れない原因は、ストレスや生活リズムの乱れ、睡眠時の環境などがあげられます。眠れないときは、腹式呼吸や入浴など、自分なりにリラックスできる方法をみつけておくのがおすすめです。また、起床後に日光を浴びたり、適度な運動を心がけたりすることで、自然な眠気につながりやすくなるでしょう。