腰痛対策にお風呂が効果的な理由
面倒だからと入浴を省略したり、シャワーで済ませたりしている方は多いのではないでしょうか。腰が痛むときは、お風呂に入るのがおすすめです。
まずは、お風呂が腰痛対策に有効な理由を解説していきましょう。
理由1.血行が促進する
お風呂が腰痛対策に有効なのは、血行を促進する効果があるからです。デスクワークや立ち仕事、家事などで長時間同じ姿勢を取り続けると筋肉が凝り固まり、血管を圧迫して血行が悪くなります。血液の流れが悪くなることで発痛物質が蓄積し、痛みが生じたものが腰痛です。
腰の筋肉が凝り固まって痛むときにお風呂に入ると身体が温まり、血行を促進する効果が期待できます。滞っていた血液が流れはじめると、蓄積した発痛物質の排出が進んで腰の痛みが和らぐのです。
また、身体が温まると緊張していた筋肉がほぐれて、痛みが緩和されます。
理由2.リラックスできる
お風呂によるリラックス効果も、腰痛を和らげるのにはたらきかけます。ストレスも腰痛を引き起こす原因のひとつです。
人間の身体はストレスを受けると交感神経が優位になり、筋肉が緊張して血管が縮小します。その結果、血行が悪くなり、筋肉に発痛物質が蓄積して腰に痛みが生じるわけです。
一方、ぬるめのお湯につかると温熱効果から副交感神経が優位になり、リラックスした状態になります。浮力で身体が軽くなるのも、リラックスを促す要因のひとつです。身体がリラックスすると筋肉の緊張がほぐれ、血行も改善されて、腰の痛みが軽減されます。
お風呂は、交感神経と副交感神経のバランスを調整するのに有効です。身体の不調を引き起こす、自律神経の乱れを整える効果も期待できます。
急性期の腰痛ではお風呂が逆効果になることも
腰痛を和らげる効果がある一方で、逆にお風呂に入ると痛みが悪化することもあるため注意しましょう。腰痛には原因に応じた対処が必要ですが、痛みを引き起こしている原因はひとつではありません。
お風呂が良い効果を発揮するのは、筋肉の疲労や慢性的な緊張による腰痛です。ぎっくり腰のような炎症を伴う急性期の腰痛や、強い痛みを感じる場合は逆効果になります。温めるより冷やしたほうが楽になる腰痛もあり、痛みの対処法はさまざまです。
お風呂で和らぐのは、あくまでも軽度な腰痛です。時間が経つほど痛みが強くなる場合、不調が長引く場合は整形外科を受診して、医師に相談してください。
腰痛に効果的なお風呂の入り方
お風呂で腰痛を和らげるには、入浴方法にコツがあります。次のポイントを意識して、効果的に入浴しましょう。
STEP1.空腹・満腹時は入浴を避ける
お風呂に入るタイミングは、空腹時や満腹時を避けてください。入浴は意外に体力を消耗するため、空腹だと気分が悪くなる可能性があります。
逆に、満腹だと消化が悪くなり、心臓にも負担をかけます。食後は30分以上あけて入浴しましょう。
夜、就寝時間の90分前にはお風呂を済ませておくと疲労回復に効果的です。入浴直後は体温が下がらず寝つきが悪くなるため、就寝直前にお風呂に入るのは控えてください。
STEP2.湯温はぬるめに設定する
湯温は熱くし過ぎず、ぬるめに設定することが大切です。身体を温めて腰痛を和らげるには少しぬるいと感じる程度、38~40℃の湯温が適しています。
ぬるめの湯は副交感神経を優位にし、リラックスを促して腰痛を和らげるのに効果的です。また、ぬるめのほうがヒートショックやのぼせのリスクが少なく、しっかりお湯につかって身体を温められます。
逆に、42℃以上の熱いお風呂に入ると交感神経が優位になり、筋肉や血管が緊張しがちです。血圧も上がりやすく、しっかり湯船につかれなくなります。
STEP3.かけ湯をしてから湯船につかる
湯船には、必ずかけ湯をしてから入りましょう。ぬるめの湯温設定でも、いきなり湯船に入るのは危険です。血圧の急上昇で頭痛や吐き気、めまいを引き起こす可能性があるため、お湯をかけて身体を慣らしてから入ってください。
身体への負担を減らしてお風呂で腰痛をケアしたいなら、半身浴がおすすめです。全身浴のほうが素早く温まりますが、心臓や肺などに負担がかかります。体調にあわせて入浴方法を選びましょう。
STEP4.ゆっくりお湯につかる
ゆっくりお湯につかる必要があるとはいえ、適度な入浴時間を守ることが大切です。長時間入浴すれば良い効果が得られるわけではありません。30分以上の入浴は身体に負担をかけ、脱水や肌の乾燥を引き起こします。
お湯につかるのは10~15分程度、汗が出るまでを目安にしましょう。短いようでも、温熱効果で十分血行が促進されます。お風呂から上がる際に背中・腰・肩に熱めのシャワーをかけると、より血行促進に効果的です。
お風呂の温浴効果を高める方法
お風呂の温浴効果は、ちょっとしたコツで高められます。ここからは、腰の痛みを和らげる具体的な方法をみていきましょう。
入浴中にストレッチする
温浴効果を高めるには、湯船につかりながらストレッチするのがおすすめです。温かいお湯の中だと凝り固まった筋肉を無理なく動かせるうえ、浮力の効果で負担も軽減されるため、ストレッチの効果が高まります。
お風呂に入ったら、下記の要領で腰のストレッチに取り組みましょう。
1.湯船の中で両膝を立て、両手で抱えて体育座りをする
2.背中を反らしてから丸める動作をゆっくり10回繰り返す
3.両手を離し、両膝を立てたまま上半身をゆっくりと左右に10回ひねる
4.両足を伸ばして長座に座り、上半身をゆっくりと左右に10回ひねる
5.右膝を立ててゆっくり上半身を倒し、胸に抱えるように腰を伸ばして10秒キープする
6.ゆっくり戻り、足を入れ替えて同様にストレッチする
湯船の中でツボ押しする
温浴効果を高めるには、湯船につかりながら腰痛に効くツボを押すのもおすすめです。
<腰痛対策におすすめのツボ>
・腎兪(じんゆ):ウエストラインの背骨の左右、指2本分外側にあるツボ
・志室(ししつ):腎兪から指3本分外側にあるツボ
・大腸兪(だいちょうゆ):腎兪から指4本分下にあるツボ
・三焦兪(さんしょうゆ):腎兪から指2本分上にあるツボ
次の手順で、体操しながらツボを刺激しましょう。
1.湯船の中で正座する
2.両手を腰にあて、親指の腹を腎兪にあてる
3.ひじを張って上体をそらしながら、腎兪を3~5回押して刺激する
4.親指をずらして、同様に志室、大腸兪、三焦兪の順で刺激する
腰痛対策にお風呂に入るときの注意事項
お風呂に入ると思った以上に体力を消費するため、入浴の仕方にはいくつか注意事項があります。ここからは、身体への負担を減らして入浴するポイントをみていきましょう。
湯冷めを防ぐ
お風呂上りは身体が冷えやすいため、湯冷めを防ぐケアが必要です。水分が肌に残っていると、身体が早く冷えます。すぐにタオルで水気を拭き取り、服を着ましょう。腰まわりを保温すると、腰痛対策に効果的です。
ヒートショックに備える
入浴時の急激な温度変化は血圧の上下変動を引き起こすため、ヒートショックに対する備えも大切です。気温が低い時期は、浴室や脱衣場を温めてからお風呂に入りましょう。早く温まりたい場合でも最初はぬるめに設定し、追い焚きか足し湯で湯温を調整してください。
入浴前後に十分水分を補給する
入浴で汗をかくと体内の水分が不足します。脱水を防ぐために入浴前後はしっかり水分補給しましょう。身体に吸収しやすい常温の水や白湯、スポーツドリンクがおすすめです。
逆に、甘いジュースや炭酸飲料、カフェインの入った飲み物は水分補給に向きません。また、入浴前後のアルコールは避けてください。
まとめ
お風呂で身体を温めると、つらい腰の痛みが和らいで楽になります。シャワーで済まさず、ぜひ毎日の習慣に取り入れてください。しかし、間違った入り方をすると身体に負担をかけ、逆に痛みが悪化する可能性があります。入浴のタイミングや湯温に注意して、効果的に身体を温めましょう。湯船につかりながらストレッチやツボ押しするのもおすすめです。
また、お風呂でじっくり身体を温めると、冷えを改善する効果も期待できます。慢性的な冷えも腰痛を引き起こす一因なので、あわせて下記の記事も参考にしてください。