夏こそ冷えや腰痛に注意が必要!その理由は?
冷えによる腰痛は、寒い冬の季節にだけ注意していればいいと思い込んでいる方は多いのではないでしょうか。しかし、冷えによる腰痛は夏こそ注意が必要なのです。
夏でも冷えによる腰痛が起こりやすい理由には、下記の2つがあげられます。
理由1.冷房で身体が冷えるため
夏に身体が冷えやすいのは、冷房が原因です。気温が高いと熱中症になるリスクがあり、夏は自宅でもオフィスでも冷房が欠かせません。しかし、冷房は思った以上に身体に負担をかけます。
人間の身体は、夏が近づくと徐々に暑さに慣れる「暑熱順化」が進みます。暑さから身を守ろうと発汗量や皮膚の血流量を増やして、熱を逃がしやすい身体に変化するのです。そのぶん夏の身体は冷えやすいため、冷房を浴び続ければ必要以上に冷えの影響を受けます。
特に、屋外で汗をかいた後に冷房にさらされると急激に体温が奪われるので、注意が必要です。汗を拭かずにいたり、濡れた服をそのまま身につけていたりすると冷えが進行して、腰に痛みを感じやすくなることがあります。
また、筋肉量が減っている場合も注意が必要です。身体のなかで熱を作り出すのは、筋肉です。加齢や運動不足などで筋肉量が低下すると熱を生み出せなくなり、冷房により身体が冷えやすくなります。
理由2.夏バテで自律神経が乱れるため
暑さによる夏バテも身体を冷やし、腰痛や肩こりを引き起こす一因です。疲労感や食欲不振などをともなう夏バテは、自律神経の乱れに関与しています。
自律神経とは、体温や血流、呼吸などの生命活動に必要な機能の調節を司っている神経系です。自律神経が乱れると身体が冷えを感じ、筋肉が硬直して血行が滞るため、腰に痛みが生じやすくなります。
夏の暑さが続くと熱帯夜で眠れなくなったり、食事量が減って栄養が不足したりして、さまざまな不調が生じます。これが夏バテです。体調の維持が難しくなると自律神経が乱れ、体温調節がうまく機能しなくなることで、身体が冷えやすくなります。
また、暑い屋外と冷房の効いた室内を行き来する生活も、自律神経に負担をかける要因となります。冷房により自律神経の働きが乱れると、体温を調節する機能がうまくはたらかなくなります。その結果、冷えに順応できなくなり、夏バテ症状や腰の痛みが出やすくなるのです。
夏の冷えは、秋口まで続いて影響は長引きます。早めに冷えの改善を目指しましょう。
冷えによる腰痛の特徴
冷えによる腰痛は、気温が下がると悪化したり、温めると楽になったりするのが特徴です。お風呂に入ったときやカイロで腰まわりを温めたときにつらさが和らぐ腰痛は、冷えが原因と考えて良いでしょう。
通常、人間の身体は冷えを感じると血管を収縮させて、体温の低下を防ごうとはたらきかけます。その結果、筋肉が緊張して血行が悪くなり、老廃物や発痛物質が蓄積して痛みが生じます。これが冷えによる腰痛の正体です。
また、人間の身体は寒いと縮こまり、筋肉が硬くなります。筋肉の間には「皮神経」と呼ばれる末梢神経が通っていますが、冷えにより筋肉が硬直すると神経が圧迫されて、腰に痛みが生じます。
温めたときに腰のつらさが和らぐのは、血行が促されて発痛物質の排出が進み、筋肉が緩んで神経の圧迫が緩和されるからです。冷えによる腰痛は季節を問わず起こる可能性があります。夏も身体を冷やさないよう注意しましょう。
夏の冷えによる腰痛にはストレッチが有効
夏の冷えによる腰痛を改善するには、ストレッチが有効です。無理のない範囲で引き伸ばして、硬直した筋肉をほぐしましょう。血行が促され、新陳代謝が整いやすくなる効果が期待できます。
腰痛対策のストレッチは、リラックスしながら反動をつけずにゆっくり行うのがポイントです。下記の要領で取り組んでください。
寝ながら行うストレッチ
寝ながら行う、腰の筋肉を引き伸ばすストレッチです。ぎっくり腰の予防にも役立ちます。
1.布団の上で仰向けになり、両膝を立てる
2.つま先と膝をそろえてゆっくり腰をひねり、膝を右側に倒す
3.ゆっくり戻り、今度は膝を左側に倒す
4.一定のリズムで、2~3を5分程度繰り返す
椅子に座ったまま行うストレッチ
冷房の効いたオフィスでもできる、椅子に座って行うストレッチです。仕事や家事の合間の休憩時に、ぜひ取り入れてください。
前曲げのストレッチ
1.椅子に深く座る
2.膝の上に手を置き、ゆっくりと上半身を倒す
3.無理のない範囲で胸が膝につくぐらいにまで倒し、ゆっくりと上半身を戻す
背骨を曲げ伸ばすストレッチ
1.椅子に深く座る
2.両手を腰にあて、おへそをのぞき込むイメージでゆっくり腰から背中を丸める
3.次にゆっくりと背中を伸ばし、胸を張るように腰を前に反らす
4.一定のリズムで、2~3を10回繰り返す
夏の冷えが気になるときの腰痛対策
冷えによる腰痛を防ぐには、身体を冷やさないことが第一です。次の要領で環境や生活習慣を見直して、夏の冷えを防ぎましょう。
対策1.冷房の温度設定は控えめにする
外気と室温の差が5℃以上の状態が続くと体温の調節機能に負担がかかるため、冷房の温度は控えめに設定してください。クールビズの推奨温度28℃を目安に設定すると身体に負担がかかりにくく、電気代も節約できます。
しかし、気温が28℃以上になると熱中症のリスクがあります。気温が高いときは、迷わずエアコンを使いましょう。
出典:環境省「適正な室温で快適に!クールビズの提案」
対策2.衣服で防寒する
自分で冷房温度を設定できないオフィスや公共施設では、腰まわりや下半身を衣服で防寒しましょう。冷房が効いた部屋で長時間過ごすならパンツスタイルか、スカートとタイツ・スパッツを組み合わせる服装がおすすめです。
大きな血管が通る手首・足首・首元を温めると体温を維持しやすいので、靴下やレッグウォーマー、スカーフなどを活用しましょう。締め付けのきついパンプスやヒールの高い靴は血行を悪くして身体を冷やすため、シーンを選んで履き替えてください。
対策3.身体を温める食べ物を摂る
暑いからといって冷たい飲み物や食べ物ばかりだと、身体を冷やします。下記の身体を温める食材を上手に献立に取り入れましょう。夏の時期でも意識して温かいメニューを選ぶと、冷えを防げます。
・タンパク質が豊富:鶏卵、鶏ささみ、マグロ、きな粉
・鉄分が豊富:煮干し、レバー、あさり、しじみ
・ビタミンB12が豊富:牡蠣、レバー、チーズ
・葉酸が豊富:ほうれん草、ブロッコリー、レバー
・身体を温める:ショウガ、ネギ、ゴボウ
栄養の偏りは、身体を冷やすもとです。栄養は幅広い食材からバランス良く摂り、3食しっかり食べて身体を内側から温めてください。
対策4.軽めの運動を習慣にする
ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの軽めの有酸素運動に取り組むと筋肉量を維持でき、身体の冷えを防げます。夏は涼しい時間帯を選んで、汗ばむぐらいの軽めの運動を習慣にしましょう。
太い筋肉のある下半身やインナーマッスルを鍛えるのも、冷えによる腰痛防止に有効です。運動で汗をかいたらすぐに拭いて、身体を冷やさないよう工夫してください。
対策5.長時間同じ姿勢でいるのを避ける
デスクワークや立ち仕事では、こまめに身体を動かしましょう。1時間に1回を目安に姿勢を変えると、筋肉の緊張や血行不良を防げます。
定期的に休憩をはさんでストレッチすると、腰痛予防に効果的です。腰やお尻まわりを重点的に引き伸ばしましょう。
対策6.湯船につかって身体を暖める
入浴はシャワーで済まさず、夏でも湯船につかると冷えを防ぎやすくなります。最低でも、週に1~2回を目安に湯船につかりましょう。湯温設定は38~40℃程度のぬるめにし、10分以上時間をかけてゆっくり入浴するのがポイントです。
お風呂から上がったらすぐに身体を拭き、服を着て保温すると湯冷めを防げます。血行を促すために、湯上がり前に手足や顔にぬるめの水をかけても良いでしょう。
まとめ
身体が冷えると筋肉が凝り固まり、血液が流れにくくなって腰に痛みが生じやすくなります。夏は冷房にさらされて身体を冷やしやすいため、寒い時期以上に冷えに注意しましょう。夏の冷えによる腰痛の改善には、ストレッチがおすすめです。あわせて冷房の設定温度や普段の服装、生活習慣を見直して、身体を冷やさないよう工夫してください。
冷えが引き起こす腰痛の特徴については、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてください。
【関連記事】