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腰が痛い!【なかなか治らない腰痛の原因は?】腰痛の種類(分類)別対処法

なかなか治らない慢性腰痛でお悩みの方に

医療機関を受診したけれどなかなか良くならない慢性的な腰痛に悩んでいませんか?

腰痛が生じる原因には様々な可能性があり、腰痛の種類や原因によって適切な対処法も異なりますので、まず医療機関に相談してから、セルフケアなどの適切な対処方法を探してみましょう。

腰痛の分類

【腰痛】は、医療機関の検査などで原因が特定できる「特異的腰痛」原因が特定できていない「非特異的腰痛」の2つに大きく分類できます。

【腰痛】は、生活習慣や姿勢など様々な要因が関連していることが多く、整形外科などの医療機関を受診して詳しく検査をしても原因が特定できない場合が多くあります。

「ぎっくり腰」など急激な外力が加わった時に発症する場合もあれば、姿勢など日常生活習慣によって時間をかけて発症する場合もあります。

腰痛の原因が明確に特定できない場合は適切な対処方法もわからないため、なかなか治らない慢性腰痛に長期間悩まされることになりがちです。

特異的腰痛(原因が特定できる腰痛)の種類

「特異的腰痛」とは、医療機関を受診することで「腰が痛い」原因が明確に特定できる腰痛のことです。

レントゲンやMRIなどの画像検査で診断名がつく腰痛を伴う疾患には以下のような例があります。

  • 急性腰痛(ぎっくり腰)
  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰椎椎間板症
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 腰椎滑り症
  • 腰椎圧迫骨折
  • 変形性脊椎症
  • 内科や婦人科系の疾患

急性腰痛(ぎっくり腰)

通称「ぎっくり腰」と呼ばれる「急性腰痛」は、名前の通り腰椎に急激な負荷がかかった時に激しい痛みが生じる腰痛です。

重いものを持ち上げたようとしたり、急激な姿勢変化があった時に生じる「ぎっくり腰(急性腰痛)」では、筋肉や靭帯などの腰の関節を支える組織が炎症を起こしている場合が多いのですが、圧迫骨折なども生じている場合やより重篤な疾患につながる場合もあるので、できるだけ早く医療機関で検査を受けるようにしましょう。

腰椎椎間板ヘルニア

背骨は小さいな骨(椎骨)が積み木のように積み重なって1本の軸(背骨)を構成していますが、椎骨と椎骨の間には椎間板というゼリー上の組織があり、運動や姿勢変化による衝撃を和らげたり、滑らかな運動や姿勢変化を起こすことに貢献しています。

「腰椎椎間板ヘルニア」は、背骨にかかる衝撃や負担を和らげるクッションの役割を担う椎間板内にある髄核が飛び出し、背骨の中を走行し全身の運動や知覚を司る脊髄神経を圧迫する疾患です。

「腰椎椎間板ヘルニア」では、腰の感覚を支配する神経を圧迫するため、腰だけでなく、お尻、太もも、脚などにも痛みやしびれなどの症状が誘発されることが特徴です。

「腰椎椎間板ヘルニア」は、加齢、スポーツ動作や日常生活動作により腰部に大きな負担がかかることが起点となることが多く、20代〜40代での発症が多いと言われています。

医療機関にて「腰椎椎間板ヘルニア」と診断された場合、理学療法士による徒手療法、物理療法、運動療法などのリハビリテーションが処方されますが、症状や重症度によって手術やコルセットの装着などが検討されることもあります。

腰椎椎間板性腰痛

「椎間板性腰痛」は、椎間板が正常な状態から変性(水分が少なくなり柔軟性が低下する)することで生じる腰痛です。

病院で検査をしてもヘルニア(椎間板の脱出)は認められませんが、椎間板の変性は画像診断にて確認できます。

「椎間板性腰痛」では、前屈、前屈みの姿勢、長時間の座位で腰からお尻の痛みを訴えることが多く、腰を動かすことの多いスポーツ選手や、重たいものを持つ重労働の方が発症しやすいと言われています。

「椎間板性腰痛」が悪化すると「腰椎椎間板ヘルニア」に移行することもあるので、腰部に負担をかけにく生活習慣指導や理学療法士による運動療法などが処方されます。

腰部脊柱管狭窄症

背骨の間には「脊柱管」という脊髄神経が通るトンネル上の空間が存在します。

「腰部脊柱管狭窄症」とは、名前の通り、腰部の脊柱管が狭くなることでその間を通る神経が圧迫されて、脚(足)の痛み、しびれ、動きにくさが生じる疾患です。

脊柱管の狭窄は、椎間板の変性、骨の変形、靱帯の緩みなど加齢による変化の場合が多いですが、生まれつき脊柱管が狭いために発症するケースもあるようです。

比較的若い世代で発症する「腰椎椎間板ヘルニア」に対して、「腰部脊柱管狭窄症」は40歳以上の中高年が発症しやすいとされています。

「腰部脊柱管狭窄症」では、強い腰痛が続くというよりも、歩行時の脚のしびれ、もつれ、痛みなどが生じることで長時間の歩行が困難になるという特徴があります。

腰痛があまり強くなく、しばらく前屈みになって休むと症状が軽快してまた歩けるようになるため、自己判断で様子を見てしまうケースが多く、病気が進行して日常生活が困難になってしまう場合もありますので、早めに医療機関を受診することが大切です。

「腰部脊柱管狭窄症」でも、腰痛体操、徒手療法、生活指導などの理学療法士によるリハビリテーションが処方されることもありますが、重症の場合は手術が適応されることもあります。

腰椎圧迫骨折

「腰椎圧迫骨折」は、腰椎(腰の部分の背骨)に外部から大きな圧力がかかることで起きる骨折のことです。

骨が弱くなっている(骨密度が低くなる骨粗鬆症)の高齢者に多く、転倒で尻餅をつく、スポーツでの衝突など大きな外力が加わったときだけでなく、日常生活の中でも生じる場合があります。

「腰椎圧迫骨折」では、安静時にはそれほど痛みを感じないことが特徴で、骨折の程度により、身体を動かした時に腰や背中に激しい痛みが生じます。

「腰椎圧迫骨折」の症状が進行すると、脚の痛み、しびれ、運動障害など「腰椎椎間板ヘルニア」に類似した症状が出てくる場合もあります。

「腰椎圧迫骨折」はコルセット装着に保存療法や手術などが適応となる場合もありますが、その期間に筋力が低下して二次的な障害が生じないように理学療法士による運動療法なども処方されます。

変形性脊椎症

「腰椎圧迫骨折」は、姿勢の軸となる背骨を構成する椎骨や椎骨の間でクッションの役割を果たす椎間板など背骨の関節を構成する要素に編成することで、その間を通過する脊髄神経にも影響が生じ、腰痛などが生じる疾患です。

背骨に負担をかけるような動作加齢により組織が痛むことによって生じます。

内科や婦人科系の問題

腰回りにはさまざまな臓器があり「膵臓炎」「腎結石」「尿路結石」「前立腺がん」「腹部大動脈瘤」「子宮内膜症」「子宮がん」など内科系や婦人科系の疾患でも腰痛を生じる場合があります。

筋肉や骨格に問題がある場合と異なり、姿勢や運動によって痛みに変化が生じにくいことが特徴です。

非特異的腰痛(原因が特定できない腰痛)の種類

医療機関にて、「骨の状態がわかるレントゲン検査」「筋肉、神経、血管などを写すMRI検査」「内臓疾患やがんの可能性をみる精密検査」など複合的な検査を実施しても明確な原因が特定できないケースも多くあります。

この場合、医療機関では「腰痛症(腰痛疾患の総称)」という診断となり、湿布や痛み止めなどの対処療法が主な治療方針となり、なかなか治らない「慢性腰痛」と付き合い続けることになりがちです。

明確な診断名がつかいない【腰痛症(非特異的腰痛)】は、生活習慣など様々な要因が考えられます。

  • 心因性(心理的ストレス)
  • 筋肉や筋膜の炎症や機能不全

心理的ストレス

レントゲンやMRIなどの検査では異常がないにも関わらず、過度なストレスや不安によって生じる慢性的な腰痛に悩まれている方はたくさんいます。

日常生活の不安やストレスにより交感神経(自律神経)が優位となると、身体もリラックスすることが苦手となり、血行不良を起こすことで痛みを引き起こす可能性や過剰なストレスにより「痛みを感じる神経の仕組み」に異常が生じる可能性などが研究されていますが、明確なメカニズムはわかっていません。

強いストレスや不安を取り除くことが一番の対処法となりますが、筋肉がこわばることで血行不良が起こることで腰痛を感じていることに対して、マッサージや筋膜リリースなどを行い、痛みを緩和して身体的ストレスを軽減させことも対処法のひとつとして検討してもいいかもしれません。

筋肉や筋膜の炎症や機能不全

腰部は、上半身の体重を支える部分なので、姿勢や普段の生活習慣の影響を大きく受けます。

スポーツ、衝突、転倒などに大きな外力だけでなく、長時間の座り姿勢、長時間のスマホの利用、重い荷物を運ぶことが多い、前屈みの姿勢になることが多いなどの場合、腰回りだけでなく、姿勢を保持する筋肉や筋肉を支える筋膜などの組織にも大きな負担がかかっています。

生活習慣や姿勢が原因で腰部に痛みがある場合、痛みの出ている腰の部分を温めたりさすったりするだけではなかなか腰痛を改善することは困難です。

普段の生活習慣からどんな行動や姿勢が腰痛の原因となっているのかを確認し、痛みの出ている箇所だけでなく、炎症(痛み)の原因となっている筋肉や骨格のアンバランスを調整する必要があります。

全身をボディスーツのように覆い、筋肉運動や姿勢全体を整える第二の骨格と言われる筋膜にアプローチすることが効果的です。

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