「悪い姿勢」が原因?身体が発するSOS!
長時間のデスクワークやスマホに依存しがちな現代人の生活習慣では、ストレートネック、猫背、巻き肩などの不良姿勢が生じやすく、肩こり、腰痛、眼精疲労、頭痛、めまい、手足の痺れなど様々な身体のお悩みにつながってしまいがちです。
痛みや痺れなどの辛いお悩みが増えると仕事や普段の生活も辛くなりますが、これは不良姿勢の影響で身体の機能が制限されて正常な働きができなくなり、悲鳴をあげている状態です。
今、痛みや痺れの自覚がなくても、姿勢が悪い状態では、身体の一部分にだけ過剰な負担がかかることで、身体の機能(人体の正常な仕組み)が正常に働けなくなります。
その結果、「疲れやすい」「なんとなくだるい」「やる気が出ない」「太りやすい」「むくみやすい」「スカートが回ってしまう」「体力が続かない」などのお悩みが生じてしまうのですが、これはあなたの身体があなたに送っているSOSです。
できるだけ早く身体が発信するSOSに気がついてセルフケアなど適切な対処をするように意識しましょう。
「良い姿勢」とは?
では、そもそも痛みや痺れなどのお悩みが生じにくい「良い姿勢」とはどんな姿勢でしょうか?
「良い姿勢」とは、「身体の機能が制限されずに正常に機能する状態のこと」です。
私たちの姿勢は、200個以上の骨による骨格を軸に、骨格を動かす400以上の筋肉と筋肉を支える様々な組織により構成されていて、姿勢や筋肉の動きをコントロールする神経や身体の組織に栄養や酸素を送りながら老廃物を排出する様々な身体の仕組みと連携しています。
つまり、「特定の筋肉に過剰な負担がかからず、身体の様々な仕組みが正常に機能する理想的な骨格の配置」が「良い姿勢」であり、姿勢をセルフチェックする時に目安となるのが、身体の軸である「背骨」と「重心線」です。
背骨のS字カーブ
良い姿勢の軸となるのは、骨格の軸となる「背骨」です。
「背骨が自然なS字カーブ」を描いている状態が理想です。
歩行や日常生活活動で姿勢が変化する時の衝撃を分散するために、人間の背骨はとても精巧な構造になっているのですが、全体でみたときにまっすぐではなく、S字カーブを描いていることで身体の特定の場所に大きな負担がかかりにくくなります。
重心線の位置
脊椎動物の中でも直立二足歩行を獲得して文化的で多種多様な活動を行う人類は重力の影響を強く受けるため、重心線が身体の中心からずれてしまいがちです。
「良い姿勢(理想的な骨格の位置)」とは、重心線が身体の中心を通過している状態で、横から見た時に「耳、肩、腰、膝、くるぶし」が一直線となっていることが目安になります。
姿勢のセルフチェック方法
今の姿勢を確認し、「良い姿勢(理想的な骨格の位置)」に対してどんなズレがあるかセルフチェックする方法をご紹介します。
壁さえあれば簡単にできるので、今すぐ確認してみましょう。
- 壁を背にしてまっすぐ立つ
- 腕は体側に沿わせるようにまっすぐ下ろす
- 足を肩幅程度に開いて、踵を壁につける
- 後頭部(頭の後ろ)、肩甲骨(胸の後ろ)、お尻を壁につける
さて、どうでしたか?
後頭部(頭の後ろ)、肩甲骨(胸の後ろ)、お尻、踵が壁についた状態で、かつ腰の後ろに手のひら1枚分の隙間があれば、背骨のS字カーブと重心線が理想に近い「良い姿勢」と言えます。
もし、全てのポイントが壁につかない(どこかをつけようとするとどこかが離れる)場合、不良姿勢が慢性化している可能性がありますので、ご家族やお友達に写真を撮ってもらう、姿勢チェックアプリを活用するなどして客観的に自分の姿勢を確認することをオススメします。
また、「肩の位置が左右で違う」「骨盤の位置が左右で違う」など左右差がないかも確認してみましょう。
【よくある不良姿勢の例】
- 頭が壁につかない
- 肩をつけようとすると背中が反る(腰の後ろの隙間が大きくなる)
- 背中の隙間を小さくしようとすると、膝が曲がって肩が前に出る(肩がつかない)
ストレートネック、猫背、巻き肩、反り腰などは、肩こりや腰痛につながりやすい不良姿勢の特徴でもあるので、辛いお悩みが出てくる前に適切な対処方法を検討することをオススメします。
姿勢を良くする方法(セルフケア)
姿勢は生活習慣に大きく影響されますので、正しい姿勢を意識して、適切なセルフケアをすることで、肩こりや腰痛などのお悩みを発生させにくい身体を目指せます。
姿勢は毎日の生活習慣で変化するものなので、無理なく継続できる方法から取り入れてみましょう。
不良姿勢になりやすい生活習慣を見直す
私たちは常に姿勢を変化させながら様々な活動を行っていますので、特定の不自然な姿勢を維持する習慣が長く続くと、骨格を支える筋肉のバランスが崩れて、正しい姿勢に戻しにくくなってしまいます。
例えば、以下のような姿勢が長時間続く場合は、「正しい姿勢へ戻す」「左右を入れ替える」「良い姿勢が維持できる環境を整える」などの工夫を意識して行うようにしましょう。
- 不良姿勢でのデスクワーク
- 不良姿勢でのスマホ使用
- いつも同じ方向で脚を組む
- ヒールの高い靴を履いていることが多い
- いつも同じ側(右か左)でカバンや荷物を持つ
- 下を向く作業が多い
普段履いている靴がスニーカーでも、靴底の減り方に左右差があったり、特定の場所だけ極端にすり減っている場合などは、新しい靴に交換するようにしましょう。
仕事などで長時間のデスクワークは避けられない場合は、座面や椅子の高さ、パソコンのディスプレイの位置を工夫してできるだけ良い姿勢で作業できるように環境を整えましょう。
- 椅子の高さ:足裏が床につき、膝関節と股関節が屈曲90度程度
- 腰掛ける深さ:太もも裏面が座面に乗る
- 背もたれ:腰や肩が丸くならないようにクッションなどで整える
- 重心線:坐骨(椅子に座ってお尻の下に手を入れた時に刺さるように触れる骨)の上に上半身が乗っているようなイメージで上半身の重心線を中心に持ってくる
- 「座面に対して骨盤を垂直に立てる」「みぞおちから上半身を上に引き上げるように背筋を伸ばす」「軽く顎を引く」という3ポイントを意識して姿勢を整える
- パソコンのディスプレイが目線と同じくらいになるようにスタンドなどで調整し、40cm以上距離を開けて使用する
座位姿勢で股関節屈曲角度が90度を超えると、骨盤が後傾して腰が丸くなりやすくなりますので、まず座面を整えるか時々立位姿勢で作業をすると腰の負担が軽減しやすくなります。
また、首や肩が前に出にくい環境(できるだけ背もたれにつけた状態)を維持できるようにディスプレイの位置や高さを工夫することで、良い姿勢が維持しやすくなります。
また、1時間に1回程度立ち上がって、気分転換しながら姿勢を整えるストレッチなどを取り入れるといいかもしれません。
姿勢を整えるストレッチや筋膜リリースをする
不良姿勢を長時間続けると特定の組織に過剰な負担がかかるため、良い姿勢を維持するための全身の筋肉や筋膜のバランスが崩れてしまいます。
ストレッチや筋膜リリースを適切に行うと、不良姿勢で硬くなった筋肉や筋膜が整い、本来の良い姿勢(全身の筋肉がバランスよく作用する状態)へ戻しやすくなります。
筋力トレーニングをする
姿勢を維持するためには、骨格を支えて運動を起こす筋肉が正常に機能する必要があります。
不良姿勢では全身の筋肉のバランスが崩れているので、特定の筋肉に過剰な負担がかかっている一方で、縮んで本来の機能を発揮していない筋肉もあります。
特に姿勢の軸となる背骨周りの筋肉、体幹部分を支える筋肉を前後左右バランスよく強化する筋力トレーニングをすることで、良い姿勢を維持しやすい身体作りに役立ちます。
呼吸を意識する
「呼吸の乱れは姿勢の乱れ」と言われるほど、姿勢と呼吸は密接に関係しています。
呼吸に関与する筋肉は姿勢保持にも重要な役割を持っている筋肉なので、呼吸を意識して行うことで姿勢を維持する筋肉へ意識を向ける効果があります。
整体院などでアドバイスをもらう
自分の姿勢を自分で確認するのはとても難しいので、整体院などで「姿勢チェック」「筋膜リリースなどの施術」「トレーニングやセルフケアのアドバイスをもらう」ことで、より早く姿勢改善が目指せます。
まずは「自分の姿勢のどこに問題があるのか」を、客観的に確認できることは姿勢改善の第一歩になります。
負担がかかっている部分の筋肉のコリや筋膜の癒着を施術でリリースしてもらうだけでなく、どうすれば姿勢のお悩みが生じにくくなるのか、自宅でできるストレッチ、筋膜リリース、筋力トレーニング、生活のアドバイスをしてくれる信頼できる整体院がオススメです。